書評
英国保健省 精神保健に関するナショナル・サービス・フレームワーク―5年の経過
松原 三郎
1
1松原病院
pp.813
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100302
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本書は英国保健省が1999年から10年計画で取り組んできた精神保健医療福祉改革の初期の5年間の報告書である。このような諸外国の精神保健施策に関する報告書の翻訳は他に例がなく,わが国の精神保健施策を見直す貴重な資料である。本書がわが国の精神保健関係者に与える影響は計り知れない。関係者必読の書と言っても過言ではない。
本書は2人の翻訳者(伊勢田堯氏,田中英樹氏)による序文から始まっており,この報告書は,それまで経済的効率を重視しすぎたサッチャー政権の施策のために荒廃した医療と福祉を,1997年に誕生したブレア政権が「公正」と「効率」の双方を重視した新しい施策へ転換したことから始まるなどの解説がされている。国民保健サービス(NHS)の改革は,疾患別のナショナル・サービス・フレームワーク(NSF)を設定することで進められ,これを推進するためにイングランド国立精神保健研究所(NIMHE)が設立され,科学的なモニタリングと分析に基づいて進められている。
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