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特集 災害精神医学の10年―経験から学ぶ
自然災害
阪神・淡路大震災被災者の長期的健康被害
Long Term Health Consequences among Victims of the Great Hanshin-Awaji Earthquake
新福 尚隆
1
Naotaka SHINFUKU
1
1西南学院大学人間科学部社会福祉学科
1Faculty of Social Welfare, School of Human Sciences, Seinan Gakuin University
キーワード:
Hanshin-Awaji Earthquake
,
Long term health consequences
,
Disaster mental health
,
PTSD
Keyword:
Hanshin-Awaji Earthquake
,
Long term health consequences
,
Disaster mental health
,
PTSD
pp.247-254
発行日 2006年3月15日
Published Date 2006/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100227
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はじめに
阪神・淡路大震災から10年を経過し,神戸を訪れる人々は,ここが大震災を経験した場所である痕跡に気づくことは少ない。神戸市は震災後,フェニックス(不死鳥)プランをはじめとするさまざまな都市再生計画を立ち上げ,災害に関する国内,国際機関を誘致し,災害予防に関する研究,教育の拠点となっている。震災後10万人以上が流失した人口も震災前の水準に戻り,震災で大きな打撃を受けた神戸港も,2004年度の決算見込みでは震災後初めて黒字になったと発表されている(朝日新聞,2005年8月11日)。国際的に見て,阪神・淡路大震災からの復興は,奇跡に近いものだと言えるだろう。阪神・淡路大震災とその精神保健に関しては,数え切れないほどの本や論文が書かれている。大地震の後10年を経て,被災者のさまざまな健康問題,医療支援,行政の対応を振り返る優れた記録も著されている5)。また,阪神・淡路大震災の被災者への心のケアの経験は,新潟中越地震,福岡西方沖地震の被災者のケアへ生かされている。
被災者の経験,対応は一人ひとり異なり,客観的な立場から総論的に述べることは難しい。ここでは,筆者の神戸での経験を基に,阪神・淡路大震災から10年を経て感じたこと,学んだものをまとめたい。これらの多くは,すでに幾つかの雑誌に紹介したものであることをお断りしたい。正直に言えば,本論文は,外国誌に依頼されて書いたものを邦訳したものを基にしている15~17)。
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