駆梅療法後に神経心理検査と脳血流が改善した進行麻痺の1例

Antisyphilitic Therapy Improved the Findings of Both Neuropsychological Tests and Cerebral Blood Flow in a Case with General Paresis

はじめに

　進行麻痺は，痴呆症状が進行してしまうとペニシリンの大量療法に十分に反応しないといわれている。ペニシリンの治療前後の脳血流画像による最近の検討は，評価時期により結果は異なり，見解は一定していない。我々は，脱抑制的な行動を示した進行麻痺の1例に，ペニシリンの大量投与を行い，精神症状の改善後，脳血流SPECTの一部改善と神経心理検査の一部の改善を認めたので報告する。脳血流SPECTの解析には，新しい画像統計解析方法であるeZIS(easy Z-score Imaging System)⁴⁾を用いて検討した。なお，本報告にあたっては，患者および家族から文書による同意を得ている。