巻頭言
日本の精神医療の水準は国際的にどのようなレベルであろうか
仙波 恒雄
1
1千葉病院
pp.1274-1275
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100148
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このテーマに私は強い関心を持っている。というのは1984年U病院事件がジュネーブ国連人権小委員会で取り上げられ,この会議で当時の小林精神保健課長は「精神医療すべてが悪いわけではないが,法的に見て不備があるので日本政府としては現行の精神衛生法を改正する」と発表し,精神衛生法改正に取り組んだ。日本精神科病院協会はこの会議の重要性から当時の高宮副会長と筆者の2名をジュネーブに派遣した。会議を傍聴し,ダエス委員長に会ったり,マスコミに接触するにつれて,世界の精神医療の関心は精神障害者の人権に絞られており,その要求水準は日本で考えている水準を遥かに超えているものであることが判明した。日本と世界の認識の違いに大きな衝撃を受けると同時にこれらの世界の高い人権意識,精神障害者の人権擁護の法的整備の必要性について,日本に伝える責任を痛感し,報告書を書いた覚えがあるからである。
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