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Current Opinion
ケモカインネットワークとサルコイドーシス
The Chemokine Network and Sarcoidosis
山口 悦郎
1
Etsuro Yamaguchi
1
1北海道大学大学院医学研究科呼吸器病態内科学分野
1Department of Respiratory Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.1145-1149
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902566
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ケモカインネットワークとサルコイドーシスをめぐる最近1年間の話題
サルコイドーシスは,主としてT細胞と類上皮細胞からなる非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が全身諸臓器に形成される疾患である.起因体が微生物であれ無機物であれ,肉芽腫形成の基本的目的は,マクロファージが通常の方法で処理できない物質を封じ込める生体反応とみなすことができる.その過程でマクロファージのいわゆる活性化が起こり,種々のモノカインを分泌し,T細胞の集合を誘導する.病巣に集積したT細胞は,IFN—γをはじめとする多彩なリンフォカインを分泌し,さらにマクロファージの活性化を促進する炎症の増幅ループを作り上げる.こうして原因物質が局所に存在する限り炎症が持続し,病巣は徐々に線維化を起こして行く.
肺では主として間質に肉芽腫が形成されるが,それに伴い肺胞隔壁に著明なCD 4+T細胞の浸潤をみる.これを胞隔炎と呼び,気管支肺胞洗浄(BAL)ではCD 4+T細胞比率の上昇として検出される.これが肉芽腫形成の先行病変なのか,あるいは単なる副次的現象なのか現在のところよくわかってはいない.しかし,臨床的にかなり特微的な所見なので,その機序がこれまで様々な角度から検討されてきた.
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