Japanese
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Bedside Teaching
ホルモン補充療法による動脈硬化予防
Atherosclerosis and Hormone-Replacement Therapy
大内 尉義
1
Yasuyoshi Ouchi
1
1東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座
1Department of Geriatric Medicine, Graduate of Medicine University of Tokyo
pp.711-717
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902504
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エストロゲンと動脈硬化との関連
米国におけるフラミンガム研究1)において,40歳代前半(40〜44歳)までは,女性における心血管系疾患の頻度が年間1,000人当たり1.3人と,男性の年間1,000人当たり5.7人に比べて非常に低い水準にあるものの,40歳代後半から50歳代にかけて増加し,60歳代後半(65〜69歳)では女性22.1人と,男性の26.7人に匹敵するレベルに達する.後に報告された心筋梗塞の頻度の検討2)でも全く同様の傾向である.
日本における疫学的研究3)では,米国に比べ心筋梗塞の発生率が数分の1と低いことが特徴的であるが,40歳代ないし50歳代までの女性で心疾患の発生が少なく,その後に発生率が男性に追いつく傾向は目本と米国で共通している(図1).この性差に関して,フラミンガム研究では,40歳代前半および後半,50歳代前半の女性で,それぞれ閉経を来した女性のほうが心疾患の発生率が明らかに高く4),閉経が動脈硬化の危険因子となることを強く示唆している.日本においては閉経に着目した詳細なデータは得られていないが,基本的に同様と考えられる.
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