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Current Opinion
心不全の治療—βblocker療法
Treatment of Congestive Heart Failure:The effects of beta-blockers in patients with heart failure
市川 稔
1
,
是恒 之宏
1
Minoru Ichikawa
1
,
Hiroyuki Koretsune
1
1国立大阪病院循環器科
1Department of Cardiology, Osaka National Hospital
pp.525-528
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902475
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心不全のβblocker療法をめぐる最近1年間の話題
心不全という病態はポンプ機能の低下と全身の循環障害を主徴とする症候群であり,虚血性心疾患,心筋症,弁膜症などあらゆる疾患が原因となって生じる.よって心臓のポンプ機能が生命予後を規定しており,古くから利尿薬とジギタリスが主に症状を改善させる目的で使用されてきた._方で生命予後およびQOLを改善させる目的でアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が使用され,その有効性については数多くの大規模臨床試験で実証されている.慢性心不全の増悪因子として,レニン・アンジオテンシン系とともに重要な役割を果たしているのが交感神経系である.短期的には心臓の収縮を増強させるが,長い目でみると心臓に負担をかけ心不全の増悪,不整脈の増加につながる.そこで以前心臓の収縮力を落とすため心不全には禁忌と考えられていたβblockerが注目されることとなった.今やACE阻害薬,ジギタリス,利尿薬とともに心不全の標準的治療の一つとなっている.
本稿では,主に慢性心不全の治療—βblocker療法に関して大規模臨床試験の結果と使用法および問題点などを考察する.
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