Japanese
English
Current Opinion
虚血性心疾患の外科治療
Current Opinion in Surgical Treatment of Ischemic Heart Disease
西田 博
1
Hiroshi Nishida
1
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所心臓血管外科
1Department of Cardiovascular Surgery, Tokyo Women's Medical University The Heart Institute of Japan
pp.303-310
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902444
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
■虚血性心疾患の外科治療をめぐる最近1年間の話題
虚血性心疾患に対する最近の話題は低侵襲手術に集約されているといっても過言ではない.人工心肺を用いない左前胸部小切開(LAST:leftanterior small thoracotomy)によるLITA-LADの1本バイパスからスタートした低侵襲冠動脈バイパス手術は,現在胸骨正中切開による多枝offpump CABG(OPCAB)にその中心を移行させつつある.PTCAやステントなどのカテーテルインターベンション(PCI)との競合を考えると,3枝病変症例やLMT病変例が適応の中心となるCABGにおいてLASTから多枝OPCABへの展開は理にかなった方向性と考えられる.
OPCABは,当初は頭頸部血管狭窄例,上行大動脈高度動脈硬化症例などの人工心肺ハイリスク例に対し適応されてきたが,最近ではstabilizerなどの周辺機器の改良,血行動態維持を中心とした麻酔管理の進歩,動脈グラフト採取におけるskeletoiizationの普及1〜3)などにより,人工心肺のリスクの有無にかかわらず標的冠動脈の状態が技術的にOPCAB可能と判断されるものや血行動態の維持が可能と判断されるものに拡大され,さらにはほとんど100%の症例にOPCABを行うことをルチーンとする施設も特にわが国では増加しつつあるのが現状である.つまり,CABGのスタンダードがon pump CABGからOPCABに移行しつつあるのがこの1年のわが国の流れであろう.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.