Japanese
English
綜説
心筋炎に対する免疫グロブリン療法
Immunoglobulin Therapy for Acute Myocarditis
塩路 圭介
1
,
岸本 千晴
1
,
篠山 重威
1
Keisuke Shioji
1
,
Chiharu Kishimoto
1
,
Shigetaka Sasayama
1
1京都大学大学院医学研究科循環病態学
1Department of Cardiology, Internal Medicine, Graduate School of Medicine, Kyoto University
pp.1133-1139
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902189
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はじめに
近年,わが国では,心疾患の罹患率,死亡率が増加し,心不全の割合も大きくなっている.心不全の原因のなかで特発性心筋症,とりわけ拡張型心筋症の占める割合は多く,現在欧米で行われている心臓移植の原疾患の大半が拡張型心筋症であり,日本における最初の心移植の患者の原疾患も特発性心筋症であった.このように特発性心筋症の予後は不良であり,原因は不明であるが,その大部分の原因は心筋炎後の免疫学的異常に起因すると考えられている.
急性心筋炎患者の短期的な救命率は,経皮的心肺補助(PCPS)や大動脈内バルーンパンピング(IABP)などの使用により近年著明に改善した.しかし,これらは心筋の炎症を抑制,改善させることはできず,長期的にはその後も続く免疫学的異常の結果,慢性心筋炎から拡張型心筋症となり,急性期を乗り越えたとしても長期予後は依然不良のままである.そこで,現在免疫学的異常に対する治療の確立が待たれているが,本稿では主に心筋炎に対する免疫グロブリン療法に焦点を当てて論じる.
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