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はじめに
コントラストエコー法は,強力なエコー源となる物質(コントラスト剤)を血流内に注入することによりエコー輝度を上昇させ,血流情報を含んだ信号の解析から通常の心エコー法では得られない情報を得ようとする方法である.この方法は,1968年にGramiakとShahが生理食塩水やインドシアニングリーンを心腔内に急速に注入すると雲状ないし粒状のエコーが出現することを報告したことに始まる1).当初,末梢静脈よりコントラスト剤を注入し,右心系のコントラストエコー法が行われ,1984年,Feinsteinら2)が,超音波攪拌法を用いて肺の毛細血管を通過しうる微小気泡(microbubble)を作成して以来,コントラスト剤の末梢静脈投与による左心系の造影が可能となった.
一方,コントラストエコー法を冠動脈血流に応用し,心筋内のエコー輝度を増強させ,その領域における心筋灌流状況を可視化する方法が心筋コントラストエコー法(myocardial contrast echo—cardiography:MCE)である.この手法は,1980年にDeMariaらによって報告されて以来,臨床応用されるようになったが,これまで臨床的に使用できるコントラスト剤の末梢静脈投与では,十分な画像が得られず,心臓カテーテル検査にて,冠動脈内もしくは大動脈内に直接注入せざるをえなかった.しかし,近年,新たなコントラスト剤の開発とハーモニックイメージングシステムなどの超音波診断装置の画像構築技術の進歩によって,末梢静脈投与による心筋コントラストエコー法が可能となった.
本稿では,新しいコントラスト剤,超音波診断技術を含めた心筋コントラストエコー法の最近の進歩について概説する.
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