Japanese
English
特集 非侵襲的陽圧換気法(NPPV)の汎用性をめぐって
気管支喘息
Noninvasive Ventilation in Status Asthmaticus
徳永 豊
1
Yutaka Tokunaga
1
1広島市立安佐市民病院内科
1Pulmonary Division of Internal Medicine, Hiroshinia City Asa General Hospital
pp.41-47
発行日 2000年1月15日
Published Date 2000/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902026
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はじめに
気管支喘息は,アレルギー性の気道炎症との考え方が確立され,外来医療はステロイド吸入療法が主体となり,服薬コンプライアンスが良好な患者では発作の治療で主治医が難渋することは少なくなった.しかし,アレルギー性疾患がわが国の国民病として増加するなかで,喘息発作の治療を求めて夜間や未明に救急外来を受診する初診患者は少なくない.急死として社会的に「悲劇」として扱われる喘息死は,いまだに減少傾向にはなく,また最近は若年者の喘息死の増加が問題となっており1),喘息発作に対する新しい治療戦略が要求されている.
近年,回路リークを許容する比較的安価な鼻マスク式人工呼吸器(バイレベル型,BiPAPなど)が登場し,非侵襲的人工呼吸療法(noninvasivepositive pressure ventilation;NPPV)の一手段として注目されている2,3).閉塞性睡眠時無呼吸症候群の鼻CPAP療法から発展したもので,吸気圧(IPAP)および呼気圧(EPAP)からの差圧で補助換気が可能となったものである(図1,2).本院では1992年10月に,ステロイド静注剤が禁忌で吸入麻酔薬依存となった重積発作患者の抜管困難例に対して,BiPAPによるNPPVを試み,人工呼吸の離脱に成功したことを契機として,evidence based medicine(EBM)を志向しながら,救急の切迫した臨床現場において重積発作のNPPVに取り組んできた4).本稿では,重積発作における吸気障害とNPPVの必要性,臨床判断の根拠,NPPV管理のための「同期性」を重視する新しいロジック,問題点について実際に行っている立場5)から論じる.
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