Japanese
English
特集 冠動脈血行再建術に関するcontroversy
Transradial ApproachはPTCAの主流となりうるか
Can Transradial Approach be Accepted as a Major Method of Coronary Intervention?
加藤 修
1
,
的場 芳樹
1
Osamu Katoh
1
,
Yoshiki Matoba
1
1京都桂病院心臓血管センター
1Caldiovascular Center, Kyoto Katsura Hospital
pp.1001-1005
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901777
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はじめに
橈骨動脈よりの心臓カテーテル法は,1989年にCampeauら1)により初めて報告された.同法はKiemeneijらによりPTCAに応用され,1993年に初めて報告された.同年,彼らはこの結果をもとに同法を用いた冠動脈ステント留置術を行い報告した2).この時期は,ステント留置後の抗血小板療法にチクロピジンは一般的に使用されておらず,抗凝固療法(クマリン)が併用され,術後のヘパリン投与も厳格に行われていたため出血性合併症が高率(10〜16%)に発生していた.そのため,橈骨動脈を用いた冠動脈インターベンション(transradial coronary intervention:TRI)の初期の目的は,ステント留置術後の穿刺部位での出血性合併症を低減させることであった.
その後,チクロピジンの導入により亜急性血栓症の発生率が減少し,強力な抗凝固療法が行われることが少なくなったため大腿動脈アプローチでも出血性合併症が低率となった.そのためTRI導入の初期の意義は薄れてきた.しかし,術後の安静臥床時間の短縮など,他の利点も有することや,内径の大きい6Fガイドカテーテルの開発や通過性の良いモノレールシステムのバルーンカテーテルや6Fガイドカテーテルに対応した新しいステントの普及によりTRIが広く普及する基盤が整いつつある.しかし,現在でも手技上の制約のためにインターベンションの一般的なアプローチとして認知されるには至っていない.そこで,本稿ではTRIの利点と技術上の制約について概説し,今後の展望について述べたい.
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