連載 職場のエロス・11
うら声
西川 勝
1,2
1老人保健施設ニューライフガラシア
2大阪大学大学院臨床哲学博士課程前期2年
pp.76-77
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900514
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昭和という時代の息が尽きた頃,ぼくは慢性女子病棟にいた。ある夜勤でのことだ。
湿った空気が粘りながらからだにまとわりつく。扇風機の風が逃げる度に,じっとりした汗が熱をもつ。白衣のボタンをいくつか外して,翌朝の採血管に名札を貼り付けていた。同じことを繰り返す単調な作業に,眠気が増す。ついさっき仮眠を交替したところなのだ。
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