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Current Opinion
冠動脈疾患の診断―MDCTはCAGに代わりうるか
Novel Diagnostic Approach to Patients with Coronary Artery Disease by 64-row Multidetector CT
木原 康樹
1
Yasuki Kihara
1
1神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Kobe General Hospital
pp.687-690
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100823
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MDCTを用いた冠動脈造影法をめぐる最近1年間の話題
CTによる冠動脈描出は2000年に4列MDCTが誕生して以来行われてきた.しかしながら,64列MDCTの登場とそれに付随するワークステーションの進歩により,その診断能力は飛躍的に向上した.2006年当初において64列MDCT装置の本邦施設への導入は100件に満たない状態であったが,その後の1年間でその数は倍加したと考えられる.その結果,CTは循環器診療とりわけ冠動脈病変の解剖学的診断において,急速にその一翼を担い始めている.
2006年は16列MDCTの冠動脈疾患に対する多施設共同試験CATSCANの結果がJAMAに掲載され,その臨床上の評価が確立した年でもある1).11施設が参加した同論文によれば,カテーテル冠動脈造影法による50%超狭窄の検出率はセグメントごとにおいて感度89%,特異度65%であり,PPVは13%と低く,NPVは99%と高い値を示した.評価をなしえたセグメントも71%にとどまった.このことは16列MDCTが除外診断には極めて有用である一方,偽陽性が多くMDCTを以って最終診断とするには程遠い現状を明らかにした.MDCT-CAGを救急外来のトリアージに活用しようとするMGHのグループや外科術前評価に応用しようとするフランスのグループからもほぼ同等の感度・特異度が報告され,石灰化を有する病変部位での偽陽性の高さが指摘されている2,3).
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