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サルコイドーシス—10年の進歩
泉 孝英
1
Takateru Izumi
1
1京都大学結核胸部疾患研究所・内科第2
pp.1366-1381
発行日 1983年8月10日
Published Date 1983/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218397
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"壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫(サルコイド)病変形成を主徴とする病理組織所見から名付けられた全身性疾患"であるサルコイドーシスは,昭和20年代迄はわが国ではきわめて稀な疾患の1つであった.30年代になって,ときに結核検診の胸部X線フイルムで発見されるようになり関心を惹くようになった.40年代になると決して稀な疾患ではなくなり,50年代に至っては,少なくとも呼吸器科領域ではときに遭遇する疾患の1つになってきた.と同時に,難治症例としてのサルコイドーシス症例の存在が,臨床上の1つの問題になりはじめてきている.
サルコイドーシスは,欧米では第2次大戦前から広く知られていた疾患であったが,第2次大戦中,兵士の集団検診の胸部X線フイルムから多数のBHL(両側肺門リンパ節腫脹,bilateral hilar lymphoma,lymphadenopathy)症例が発見されたことから,各国,とくにアメリカで本症に対する積極的な関心が示されるようになった.1958年に,ロンドンで最初の国際的なサルコイドーシスに関する研究集会が開かれた.1960年にはワシントンで再び国際的な研究集会が第2回国際サイコイドーシス会議の名で開催され,今日におけるサルコイドーシスの概念の確立をみるに至った.国際会議は以後3年毎に開催されることになり,1972(昭和47)年9月には東京で第6回会議が開催されている.
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