Topics Respiration & Circulation
心エコー図の新技術
増山 理
1
1大阪大学医学部第一内科
pp.1315-1316
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901392
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■最近の動向 心エコー・ドプラ法は非侵襲的に心臓の形態,機能を評価しうるところに利点があるとされてきた.そのため,侵襲的に行われる心臓カテーテル検査(冠動脈造影,左室造影を含む)から得られる情報を,心エコー・ドプラ法を用いてどこまで非侵襲的に得ることが可能かということに,これまでは注目してきた.しかし,従来より行われている心臓カテーテル検査から得られる情報も十分ではない.例えば,冠動脈の内腔の形態は冠動脈造影より評価可能であるが,血管壁の形態は評価困難であった.また,冠循環の評価法は確立していない.心室および心房壁や弁の形態評価は,造影法よりもむしろ体表面から行う心エコー法の方が優れている点も多いが,体表面から観察可能な部位に制限がある上,体表面からは評価に耐えうるエコー像を得ることが困難な患者も少なくない.
このような問題点を,侵襲的にエコー・ドプラ法を用いることにより克服すべく,近年,血管内エコー,ドプラカテーテル(あるいはドプラワイアー),心腔内エコーなどの新手法が開発された.血管内エコーは,先端にエコー探触子を有する細いカテーテルを冠動脈内に挿入することで,血管内腔および血管壁の形態観察を可能とする.ドプラカテーテル(ドプラワイアー)は細いカテーテル(ワイアー)の先端にドプラ探触子を有し,冠動脈内に挿入すると,冠血流速のphasicな変化をとらえることができる.心腔内エコーは,心房あるいは心室にエコー探触子を挿入することで,心腔内からエコー法により心臓の形態を評価することが可能となるため,体表面からエコーを行う際の胸壁にあたる障害物が存在しない.
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