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はじめに
気管支喘息は慢性の炎症性気道疾患である.患者が喘息症状を訴え,外来を訪れた際に喘息であると診断を下すことは多くの場合容易である.しかし,患者のQOLを損うことなく,長期にわたる薬物療法を指導していくことに時々困難を感じる.重要なことは,患者自身に病気を十分に理解させたうえで,繰り返す喘息発作をいかに少なくしコントロールするかである.外来で2ないし4週間に一回程度訪問する患者から自宅での喘息発作の頻度,生活状況をすべて聞き出し,喘息の状態を瞬時に把握するには長年の経験による「勘」と呼ばれるテクニックを要する.しかし,診療をmedical scienceに基づいた理論的診断・治療の観点からは,喘息のコントロールに客観的な指標が必要である.
近年,世界的に喘息患者が急増しつつある.喘息が気道の慢性炎症であるという認識から,1992年,米国立心・肺・血液研究所(NHLBI)から「喘息の診断と管理に関する国際コンセンサスレポート」が,その後,各国の実状にあわせた「喘息管理/予防のグローバルストラテジー」がNHLBI・WHOから報告された1).このストラテジーをもとに各国で喘息患者の管理が行われているのが現状であり,日本においても日本アレルギー学会によるアレルギー疾患治療ガイドラインが作成された2).ストラテジーの中に,6項目の喘息管理プログラム(表1)という項目がある.その細目には,「症状観察と肺機能測定により喘息重症度の評価とモニターを行う」とあり,ピークフロー(PEF)による評価を挙げている.PEFについては後述するが,その利点として日々の喘息の状況を容易に把握しうること,また患者自身が病気に対して自覚を持ちうるなどが挙げられる.しかし,PEFだけで十分か否かについては様々な検証がなされている.
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