Japanese
English
特集 急性心筋梗塞後のrisk stratification
本邦における心筋梗塞の自然歴とリスク
Short-and Long-term Prognosis and Risk Stratification in Patients with Myocardial Infarction in Japan
深見 健一
1
Kenichi Fukami
1
1岩手医科大学第二内科
1Department of Internal Medicine II, Iwate Medical University School of Medicine
pp.633-642
発行日 1995年7月15日
Published Date 1995/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901078
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厚生省の人口動態調査によれば,心疾患による粗死亡率はわが国の年齢構成の変化を反映して年々増加しているが,年齢調整死亡率でみると1970年以来横ばい状態かやや減少ぎみである.しかし,心疾患は癌に次いで本邦における死因の第2位であり,救命策の確立が重要であることは言うまでもない.心疾患のうち虚血性心疾患(IHD)による死亡は人口10万人に対し40人前後で,1975年以降ほぼ横ばいであるが,その他の心疾患による死亡は増加しており,そのなかには相当数の急性心筋梗塞症(AMI)による死亡が含まれていると考えられる.実際,臨床の現場の印象ではAMIは年々増加傾向にある.死亡率からみた年次推移と臨床家の印象との差は,AMIと確診されずに心不全や単に心臓性急死とされている例があるとともに,治療の進歩により致命率が低下していることも一因とされており,AMIの発生率が減少しているとは考えがたい.AMIは死亡率の高い疾患であり,しかも発症早期の死亡が大半であることを考えると,予後関連因子の解明とそれへの対策の確立が急務である.
一方,CCUへ搬送されたAMIの死亡率はかなり減少しており,おおよそ10%前後となっている.発症早期の再疎通療法の普及,病態の理解とそれに適した薬剤使用法の進歩,重症ポンプ失調に対する経皮的心肺補助循環法の適用,心臓超音波断層法での経時的観察による心破裂の予測と予防的処置などによると考えられる.しかし,重症ポンプ失調例や心破裂例での致命率は依然高率であり,CCU収容後の症例についても予後の予測とそれに基づいた治療指針の確立は重要課題の一つである.
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