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Bedside Teaching
高血圧治療方針のたて方—第5次米国合同委員会報告
Antihypertensive Therapy based on 5th National Joint Committee Report
鈴木 洋通
1
Hiromichi Suzuki
1
1慶応大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.961-965
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900747
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現在多数の降圧薬が市販され,一体どのように高血圧の治療を行うか逆に困難な時代に入っていると思われる.降圧療法が体系づけられてきたのは,1978年に第1回の米国合同委員会の報告に始まったといってよい.この報告は,はじめて大規模研究—在郷軍人病院—の結果をもとにそれ以前に議論のあった降圧療法が有効かどうかという大命題に1つの解答を与えた.すなわち,中等症高血圧に対してなんらかの降圧薬で降圧をもたらすと心血管障害は有意には減少させないが,脳血管障害は有意に減少させることができるという結果であった.
この第1回の米国合同委員会では第一次選択薬として利尿薬とβ遮断薬を用いることが勧められた.その後多くの大規模研究が行われ,また米国合同委員会の報告も4年毎に繰り返され,1988年に提出された第4次の報告では非薬物療法と薬物療法とに高血圧の治療も分けられた.さらに薬物療法では利尿薬とβ遮断薬に加えてカルシウム拮抗薬とアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)阻害薬が第一次選択薬として加えられた.この報告では拡張期血圧が105mmHg以下の軽症高血圧ではまず非薬物療法から行うことが勧められた.この非薬物療法としては,減塩,肥満の解消,アルコール制限,禁煙などがあげられた.この第4次の報告によって現在の降圧療法の根幹が整ったといっても過言ではない.
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