虚血心筋とremodeling

Ischemic Myocardium and Remodeling

　Cardiac remodeling（心室形態の再構築）は心不全の代償機転の新しいとらえ方である．虚血性心臓病患者が心不全に進行していく臨床経過を防止し，予後を改善する治療法が大規模臨床治験によって検討されつつある．Remodelingの概念はラットの心筋梗塞実験や臨床治療研究から注目されるようになった^1〜8）．心筋壊死が広範囲であると心拍出量を保つための生体の適応現象として梗塞部のみならず非梗塞部を含む心臓形態全体として構築変化（remodeling）が生じることが知られている^9〜20）．

　本稿では心筋梗塞における心室remodelingの病態生理，規定因子や進展抑制法を中心に概説する．