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特集 PSV(Pressure Support Ventilation)
PSVのモデル肺による解析—患者-人工呼吸器の相互作用
Evaluation of Patient-ventilator Interactions during Pressure Support Ventilation using Spring-loaded Bellows Type Lung Model
武澤 純
1
Jun Takezawa
1
1名古屋大学医学部附属病院集中治療部
1Department of Intensive Care Unit, Nagoya University School of Medicine
pp.853-857
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900533
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はじめに
従来,人工呼吸器は肺におけるガス交換能の改善を第一義的目的として開発が続けられてきたが,呼吸不全患者の呼吸仕事の軽減に関してはいまだ十分にその目的を達したとはいいがたい.特に自発呼吸の回数が多く,不規則な呼吸様式をとる重症呼吸不全患者においては従来の人工呼吸器を用いた呼吸補助回数の単純な増加や設定一回換気量の増加,またはより高い気道内圧の使用は患者-人工呼吸器の同調性を阻害し,そのため逆に患者の呼吸仕事量を増やす結果を招く.さらには気道内圧や肺胞内圧の上昇による圧損傷の危険性も上がる.一方,胸腔内圧の上昇は心臓の前負荷を低下させることによって心拍出量の低下を招く.このことは心筋梗塞や開心術術後で心機能の低下した患者では大きな問題となる.
これらの患者-人工呼吸器の不同調性に起因する陽圧換気の悪影響を避けるためには,従来大量の鎮静薬や筋弛緩薬の投与が行われ,人工呼吸器の呼吸様式に患者の呼吸を合わせることが多かった.つまり自発呼吸を残したままで進行性の呼吸不全患者の呼吸管理をするには重大な限界があった.その原因は従来からの人工呼吸器の呼吸補助様式では患者の呼吸仕事量の軽減と肺でのガス交換能の改善を同時に成し遂げ得ないところにあった.
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