Japanese
English
解説
無重量状態下の呼吸と循環
Respiration and Circulation under Weightlessness
熊澤 孝朗
1
Takao Kumazawa
1
1名古屋大学環境医学研究所
1Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University
pp.979-987
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900357
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はじめに
我が国においても宇宙における有人活動の機会が現実の問題となってきている.ソ連の宇宙船内での秋山記者の生活がお茶の間の人々の目をひきつけたことは記憶に新しいが,つい30年程前には,宇宙における人命の維持そのものが危惧されたこともあったことを考えると今昔の感がある.しかし,1Gの環境下で順応した生体機能に対して無重力環境がいかなる影響を及ぼすかについて我々の知ることは未だ限られたものでしかない.
1G→0G→1Gという環境変化により生体機能に生ずる問題点を要素的に考えると,1)静水圧差の消失による体液分布の変化に起因する問題,2) G変化による諸器官それ自体に対する問題,3) G変化による求心性入力の変化に起因する問題,4)これらの変動に対する生体の順応に関する問題等が挙げられよう.本稿では,これまでの諸外国の宇宙有人飛行例,地上でのシミュレーション実験で,呼吸・循環系に関する実験結果が得られている1)および2)の問題を中心に考察を試みる.
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