Japanese
English
特集 血小板と心疾患—その新展開
Acute Coronary Syndromeと抗凝固療法—急性期から慢性期への移行
Acute Coronary Syndrome and Anti-coagulation Therapy:Strategy from acute stage to chronic stage
高山 守正
1
,
高野 照夫
1
Morimasa Takayama
1
,
Teruo Takano
1
1日本医科大学付属病院第1内科・集中治療室
1Division of CCU & ICU, The First Department of Medicine, Nippon Medical School
pp.759-767
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900044
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はじめに
急性冠症候群の概念が唱えられ,不安定狭心症,突然死,急性心筋梗塞を包括する本疾患のその発症機転,病態生理が明らかにされるにつれ,脂質代謝,炎症そして血小板・凝固線溶系が主役を担う広範な病態により重大な心臓疾患が生じていることが解明されてきている1,2).冠動脈の狭窄が血栓性閉塞を来し,心筋虚血,心筋壊死へと続くこの過程は,不安定狭心症,急性心筋梗塞あるいは心臓突然死として臨床的に発現し,進行の阻止に種々な治療が行われる.粥腫破綻部位での血栓形成を抑制する治療,つまり抗血小板薬,抗凝固薬の投与が病態の進展を阻止することが臨床的に証明されている3).引き続き急性心筋梗塞では再開通した責任病変の開存性,血流維持が予後改善に重要であり,それに対する抗血小板,抗凝固治療の重要性を示す報告が相次ぎ,梗塞後早期の冠再閉塞防止ならびに心筋梗塞の二次予防へとつながる治療として注目されている4,5).
本稿では急性冠症候群の機序を踏まえて抗血小板,抗凝固治療の妥当性,重要性を述べ,著者らの施設でのその実際を示すとともに,臨床上の効果および合併症につき解説する.
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