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特集 家族性高コレステロール血症(FH)診療のパラダイムシフト—PCSK9のインパクト
FHホモ接合体の治療
Treatment of Homozygous Familial Hypercholesterolemia
川尻 剛照
1
,
多田 隼人
1
,
山岸 正和
1
Masaaki Kawashiri
1
,
Hayato Tada
1
,
Masakazu Yamagishi
1
1金沢大学大学院医薬保健学総合研究科循環器病態内科学
1Division of Cardiovascular and Internal Medicine, Kanazawa University Graduate School of Medicine
pp.1087-1094
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206064
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はじめに
家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia;FH)は,著明な高低比重リポ蛋白(low-density lipoprotein;LDL)コレステロール血症と,その結果生じるアキレス腱黄色腫,早発性冠動脈硬化症を三徴とする常染色体優性遺伝性疾患である.その原因遺伝子として,LDLの細胞内取り込みに関連するLDL受容体が最多である.臨床的に,異常遺伝子を両親のいずれか一方から引き継ぐヘテロ接合体と,両方から引き継ぐホモ接合体に分類される.
PCSK9阻害剤の登場によりFHの治療は大きな進歩を遂げ,その潜在的な副作用を考慮しなければ,治療に難渋するヘテロFHは皆無になったと言っても過言ではない.しかしながら,多くのコレステロール低下剤がLDL受容体活性の上昇を介しコレステロール低下作用を発揮するため,これを欠損するホモFHに対する従来の薬物療法の効果は限定的である.本稿では,ホモFHの病態と本邦未承認薬を含めたその治療法につき概説する.
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