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特集 Onco-Cardiology—がんと循環器における新しい関係
がん診療における不整脈—心房細動,QT時間延長を中心に
Arrhythmia in Cancer Patients
庄司 正昭
1
Masaaki Shoji
1
1国立がん研究センター中央病院循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, National Cancer Center
pp.875-880
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206027
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はじめに
近年では悪性腫瘍の解明が進み,様々な治療法が新たに開発されてきたことで予後を劇的に改善するようになった.一方で,特に抗がん剤による化学療法の発達は,心毒性など様々な合併症をもたらし,悪性腫瘍による死亡—いわゆるがん死とは独立した合併症による死亡が増加した.
抗がん剤は細胞内シグナルに影響をもたらし,心房細動や上室性頻拍をしばしば引き起こす.同様に生命を脅かす不整脈であるtorsades de pointes(Tdp)の危険があるQT延長を起こしうるのはもはや有名な副作用である.
がん患者の多様性,併用薬の煩雑さ,身体的状況の複雑性により,不整脈に対する一般的な治療は行うことができないことがある.がん患者においてはかえって合併症を増やしたり悪化させたりするため,時にデリケートな管理を要するのである.そのため,がんに合併した不整脈を治療するには腫瘍医と循環器医による診療の連携が鍵を握るのである.
本稿では,がん患者における不整脈について,腫瘍医と循環器医の知識の共有を図ってまいりたい.抗がん剤が引き起こす不整脈(主に心房細動)や電気生理学的異常(主にQT延長),また一部術後不整脈を取り上げ,その特徴や対策を学んでいきたい.
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