症例検討 術後悪心・嘔吐
[トピックス]制吐薬とQT延長(不整脈)
山中 寛男
1
,
林 行雄
1
Hiroo YAMANAKA
1
,
Yukio HAYASHI
1
1大阪大学大学院医学系研究科 麻酔・集中治療医学講座
pp.170-172
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100236
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QT延長症候群という名前は麻酔科医のみならず医師であれば,少なくとも病名だけはよく知っているはず。じゃ,どうして起こるの?どんな病態生理なの?と聞かれて,すらすら答えられる人はそんなにいないと思いますが,読者の皆様いかがでしょうか。かく言う私も,教科書をカンニングしながらこの原稿を書いているので偉そうなことは言えません。ただ,少しばかり不整脈のことは勉強してきたので,教科書を読み返せば,あれこれと頭の中に蘇ってきます。
最近,医療経済の観点から日帰り麻酔が広がりをみせています。今までは少なくとも病院に1泊はしていたのに,文字通り数時間病院に休憩しただけで帰宅するため,術後の悪心・嘔吐への対策が必要になってきました。よく使用される制吐薬の中にQT延長を引き起こす薬物があったので,この話題が持ち上がったのです。
話をもう一度元に戻します。QT延長という概念を理解するために心筋細胞の電気生理を簡単に復習したいと思います。電気生理?と聞いただけで「いち抜けた」と言いたくなる方も多いでしょうが,そんな堅苦しい難しい話はしません(できません)ので,お付き合いください。
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