Japanese
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特集 酸素療法の適応基準
中枢神経系からみた基準
Indication of oxygen therapy on central nervous system
島津 邦男
1
,
丸木 雄一
1
Kunio Shimazu
1
,
Yuichi Maruki
1
1埼玉医科大学神経内科
1Department of Neurology, Saitama Medical School
pp.493-497
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205250
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はじめに
脳は単位当たりのエネルギーを最も消費する臓器であるにもかかわらず,脳自体は必要なエネルギーの蓄えをほとんど持っていない上に,その供給はもっぱら血流に依存するという特殊性を有している。そのため,一旦脳へのエネルギー源および酸素の供給が途絶えると,数秒のうちに意識障害をきたし,数分のうちに大脳や小脳をかわきりに非可逆性の壊死が始まる。したがって,酸素療法を必要とする種々の病態の中でも,その最終目的は,脳組織を非可逆性障害から保護することにあるといっても過言でない。
脳細胞はブドウ糖と酸素から高エネルギーのアデノシン三リン酸(ATP)を合成し,そのATPのエネルギーを使用することにより活動している。ブドウ糖と酸素いずれの供給がたたれても,正常な代謝は営まれない。なぜ脳エネルギー代謝において酸素が必要であるのか以下の化学式から明白である。
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