Japanese
English
解説
心臓の自律神経機能
Neural control of the heart
二宮 石雄
1
Ishio Ninomiya
1
1国立循環器病センター研究所
1National Cardiovascular Center
pp.1233-1239
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205159
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はじめに
日常生活での心(臓)機能は,安静,姿勢変換,運動,摂食,感情,睡眠などによって絶えず変動している。このような日常生活時にみられる心機能の変動に自律神経系が深く関与していることは明らかであったが,しかしその関与の程度や時間経過,関与している自律神経の種類(交感と迷走神経),制御機構の動作特性や様式についてはよく知られておらず残された問題は多い。
従来,心臓の自律神経機能1,2)は①自律神経の切断(除神経,心臓移植),②薬剤による神経信号の伝導の遮断(神経節ブロック,局所麻酔薬局注)および効果の遮断(βブロッカー,γブロッカー)時にみられる脱落現象から逆推定するか,③自律神経を電気刺激し,これに対する応答の解析によって研究された。しかし,最も望ましいのは心臓を調節している交感神経と迷走神経の活動を直接記録分析し,その機能を解析することである。
最近,著者らは,無麻酔ネコの日常生活時の心臓神経信号を記録し3〜5),心機能、時に心拍数の神経制御について調べている。これらと麻酔下で得られたデータをもとに心臓の自律神経機能について述べてみたい。
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