摘出イヌ冠状動脈，大腿動脈灌流標本のβ遮断薬に対する反応について

Pharmacological analyses of the vascular responses to β-blockers in isolated and perfused coronary and femoral arteries of dogs

　虚血性心疾患の治療でβ遮断薬が広く使用されている。しかし，冠動脈攣縮の関与する狭心症をβ遮断薬のpropranololが悪化させたという報告がある^1,2）。また，動物実験でもpropranololによるイヌの冠状動脈の収縮が報告されている^3,4）。一方，KCIであらかじめ収縮させたブタとイヌの冠状動脈をpropranololが逆に拡張させたという報告もある^5,6）。Pindololは内因性交感神経刺激作用を有し，イヌの腸間膜動脈と大腿動脈において拡張反応を引き起こすことが報告されている^7,8）。しかし，今までに冠状動脈に対するpindololの反応についての報告はない。最近，著者らは当教室で開発したカニューレ挿入法を用いてcatecholamineおよびacetylcholineが収縮させていないイヌの摘出冠状動脈灌流標本を拡張することを示した^9）。

　本研究では，摘出イヌ冠状動脈および大腿動脈灌流標本でpindololによって引き起こされる血管反応を薬理学的に分析し，propranololの反応と比較した。