Japanese
English
綜説
完全植込み型補助人工心臓開発の現状と問題点
Development of totally implantable left ventricular assist systems:Current status and problem areas
佐藤 尚
1
,
原崎 広章
2
,
能勢 之彦
2
Naoshi Sato
1
,
Hiroaki Harasaki
2
,
Yukihiko Nose
2
1東北大学胸部外科
2クリーブランドクリニック人工臓器研究所
1Department of Thoracic and Cardiovascular Surgery, Tohoku University School of Medicine
2Department of Artificial Organs, Cleveland Clinic Foundation
pp.1025-1035
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205128
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はじめに
心移植の適応を外れる重篤な慢性的かつ進行性の心不全に対する治療法として恒久的な使用を月的とした人工心臓の臨床応用がすでに開始されている1〜3)。しかし現在まで使用されている人工心臓は空気駆動形式であるので,駆動装置を体外に置く必要があり,患者は体壁を貫く駆動ラインで駆動装置と直結されることが不可避である。その結果患者の行動範囲は狭められquality of lifeを制約し,ひいては社会復帰を阻むなどの問題が次第に浮き彫りにされる結果となっている。また駆動ライン周辺からの感染の可能性も無視できない。米国NIHでは1964年来,機械的駆動装置による,エネルギー源をも含めて完全に体内植込み式とすることを目指した人工心臓システムの開発を行っている4,5)。現在はその前段階として,完全植込み式の左心補助システム(以下LVASと略)開発プロジェクトが進行中である。システムはエネルギー源,エネルギー伝達装置,駆動装置,血液ポンプからなる。またポンプの構造によってはコンプライアンスチャンバーがこれに加わる(図1)。現在これらのコンポーネントを同時進行形式で開発中であるが,本稿では開発プロジェクト全体の概況を説明し,その問題点,将来の展望などについても言及したい。
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