特集 植込み型補助人工心臓治療の現状
特集「植込み型補助人工心臓治療の現状」によせて
小野 稔
1
1東京大学心臓外科
pp.243
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu78_243
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植込み型補助人工心臓(iVAD)は2011年4月から移植への橋渡し(BTT)目的で保険償還を受けた.わが国の特徴として,国産の2機種のiVADに加え,4機種の海外製iVADが承認されるという世界的にも類を見ない多機種のiVADが使用できる医療環境下にあったことが挙げられる.各iVAD植込み実施施設は,異なる特徴を有するiVADの「クセ」を巧みに学び取り,世界に誇るべき植込み手技,術後管理,外来管理のプロトコルを確立してきた.これに加え,人工心臓管理技術認定士の資格制度の導入は,細やかな管理を必要とするiVAD患者の指導を行う,高い能力を有するモチベーションの高い臨床工学技士や看護師を数多く生み出すことにつながった.わが国の世界に冠たるiVADの長期生存率は,人工心臓管理技術認定士の存在なくして達成することは困難であったと断言できる.

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