Japanese
English
特集 呼吸をめぐる論争
化学刺激に対する換気応答の性差と性周期による変動
Ventilatory responses to hypercapnia and hypoxia: The sexual difference and the change during the menstrual cycle
高野 成子
1
Nariko Takano
1
1金沢大学教育学部保健教室
1Dept. of School Health, Fac. of Education, Kanazawa University
pp.17-23
発行日 1985年1月15日
Published Date 1985/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204576
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
大野1)の解説によると「ヒト及び大部分の哺乳類は外観的性差が非常に顕著なので,男女あるいは雌雄間の遺伝的性差も同様顕著ではないかという誤解を招きやすい。しかし,事実はこれに反して,形態的性差に比して,機能的性差は最小限にとどめられている」というまた幾分逆説めいてみえるが,種属の進化にとって必須条件であるともいう。今日の生殖生物学によれば,第1次性決定及び分化は性染色体によるか,第2次性決定は全面的にホルモンの支配下にあり,遺伝的性差は関係しないという1)。
本稿では,換気調節機能のうち,化学受容器の反応性—高CO2換気応答と低O2換気応答—の性差と,これに関連して性周期による影響について,これ迄の研究の状況を通覧し,更にこの問題の今後の方向についていささかの私見を述べたいと思う。以下になる様に,換気応答には多少の性差がみられる様であるが,差異発現機序やその生物学的意義(種属保存や進化の面で)については全く不明である。著者にはこの様な大命題について推論さえ試みることが出来ないのは残念である。
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.