Japanese
English
装置と方法
中心静脈圧の基準点のとりかたに関する検討
The reference point of the central venous pressure
小石沢 正
1
,
前田 肇
2
,
堀 原一
2
Tadashi Koishizawa
1
,
Hajime Maeta
2
,
Motokazu Hori
2
1筑波大学附属病院外科
2筑波大学臨床医学系外科
1Department of Surgery, The University of Tsukuba Hospital
2Institute of Cilinical Medicine, The University of Tsukuba Hospital
pp.705-708
発行日 1984年7月15日
Published Date 1984/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204478
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中心静脈圧(CVP)は循環動態のよい指標と考えられているが,CVPの基準点はどこかというと,実は明確には定まっていないと言ってよい。体静脈還流の下流圧あるいは右心への前負荷としての右心房圧に近似する胸腔内静脈圧を中心静脈圧として,そのゼロ圧基準点を上大静脈(SVC)の高さに置くことが一般に行われている。しかし臥床する患者で,体表からその位置を推定する方法がいろいろに提唱されているが,意外と一定していない1)。静脈圧は低圧であるため,基準点(ゼロ点)の決め方により実測値にかなりの差を生ずる。そこで一定の基準点を設ける必要があるが,循環系の中で常に血圧がゼロである点は存在しない。したがって臨床的にはCVPの絶対値よりも,相対的な変動を重視して循環動態を判断している。主として心機能低下の判断と,循環血液量の多少をCVP値によって推定しているが,心機能の低下も循環血液量の増加もともにCVPを上昇させるにもかかわらず,臨床的には両者の問で治療が全く異なる。さらに個体間の差異を比較する場合には,変動値だけでなく絶対値も問題となってくる。したがって,CVP値の変動とともにその絶対値の信頼性が重要なポイントとなる。
本来CVPのゼロ点は,体位や呼吸状態などの影響を受けない点(静水力学的基準点2))であり,血圧がゼロの点であるべきであるが,そのような定点が存在しない場合は,CVPの測定に際しては一定の基準を設け,その点を血圧ゼロの点として相対値をとることになる。したがってこの点は真に血圧がゼロというわけではない。
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