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特集 呼吸器疾患診断の新情報源
肺微小血栓症とその関連病態の診断に関する血液凝固線溶検査の評価とその対策
Evaluation of coagulation-fibrinolytic measurement in giving diagnosis of pulmonary microthrombolism and related pathological situations
長谷川 淳
1
Hiroshi Hasegawa
1
1北海道大学医学部第1内科
11st Dept. of Int. Med., Hokkaido Univ.
pp.503-509
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204224
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肺微小血栓を病理組織学的に分類すると,動脈微小血栓塞栓(直径0.25〜1.00mm)と毛細血管・細動脈微小血栓塞栓(直径20〜100 micron)とに分類され,前者は末梢静脈に形成された血栓と同様に赤色血栓であり,後者は血小板・fibrinないしfibrin血栓から成り立っている1)。このような肺微小血栓寒栓症は外傷,火傷,shock,血管外科手術,不適合輸血,virus性肺炎,敗血症などの多彩な基礎疾患に続発してみられることが指摘1)されている。しかも,肺微小血栓の形成機序に関しては近年消費性血管内凝固症(DIC)との関連が注目されている2)〜6)。また,臨床的には上述のような多彩な基礎疾患に続発して,しばしば高度の呼吸不全を伴うことが知られており,この病態は成人呼吸窮迫症候群(ARDS7,8))と呼称されている。
以上のような諸家の研究成績を考察すると,多彩な基礎疾患によって組織損傷が生じた場合にはDICの直接性引金因子である組織thromboplastinが静脈中に流入し,肺に微小血栓を形成し,高度の呼吸不全を招来する可能性があると考えられる。そこで.組織thrombo—plastinを静注して肺に実験的肺微小血栓を作成し,血栓の形成過程に伴う肺の微細構造の変化.実験動物の血液凝固線溶動態,治療方法などについて検討した。
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