Japanese
English
綜説
呼吸死腔
Respiratory dead space
関沢 清久
1
,
大久保 隆男
1
,
滝島 任
1
Kiyohisa Sekizawa
1
,
Takao Okubo
1
,
Tamotsu Takishima
1
1東北大学医学部第1内科教室
11st Dept. of Int. Med., Tohoku Univ.
pp.1260-1268
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203887
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一般的に呼吸死腔には,解剖学的死腔(Fowler死腔)と生理学的死腔(Bohr死腔)とがある。いずれも生理学的手法により測定されるが,解剖学的死腔は主に口(または鼻)より非呼吸性上皮より覆われている部位までの気道の容積を反映し,生理学的死腔は,解剖学的死腔に肺胞死腔(高換気血流比異常により生ずるparallel dead space)を加えたものを反映すると考えられている。従って解剖学的死腔にはガス交換にあづからない気道容積と吸入ガスの気道内での分布が関与し,生理学的死腔はそれに加えて肺胞レベルでのガス交換が問題になる。本論文ではこのうち,解剖学的死腔(以下死腔)に焦点を合わせて稿を進めていく。
ところで死腔は必らずしも語句の意味する如くではなく,無駄な空間でも,死んだ空間でもない。吸入気の加湿や線毛上皮1),分泌腺等による種々の有害物からの防御,気道平滑筋による換気調節など重要な機能を有する。また生理学的にも,気道内径の変化は換気力学の諸因子に影響を及ぼす。従って呼吸死腔は吸入ガスと肺胞ガスの接点として,換気力学とガス交換の両面から研究されねばならない所である。
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