特集 肺末梢領域の病像と病態
肺末梢領域の障害による肺循環障害—実験的肺高血圧症と肺性心の成因に関連して
渡辺 昌平
1
1千葉大学医学部肺癌研呼吸器内科
pp.481-485
発行日 1981年5月15日
Published Date 1981/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203767
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Monocrotalineを用いて,実験動物の種属,その量,投与法,および実験期間を変えることによって,肺水腫,肺線維症,肺高血圧を起し,さらに肺性心にいたる病態を作成しうる。(以下この肺高血圧をM肺高血圧という。)このさい,肺筋性動脈の中膜の肥大がふつう注目され,また,肺胞浮腫,フィブリン塞栓による100μ以下の肺動脈,肺小動脈,肺毛細管および肺静脈の閉塞がいろいろの程度にみとめられる。肺胞隔壁の結合織の増殖,隔壁の細胞性増殖による増大などが注目された。いずれにしても肺脈管内皮細胞の障害,および,または肺脈管の内膜透過性の亢進がおこり,それにつづいて種々の過程(例えば筋性肺動脈壁の持続的な攣縮性の亢進状態)をとって肺胞病変を随伴する右心肥大が起ってくるという大まかな考え方を根底にもっているむきが多い1)。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.