巻頭言
運動負荷と心機能
宮沢 光瑞
1
1山形大学医学部中央検査部
pp.931
発行日 1979年9月15日
Published Date 1979/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203421
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血行動態を中心とした心機能評価において,心循環系にストレスを与えて動態の変化を観察することはきわめて大切である。ストレスの手段としての運動は,古くはスポーツ医学の分野で身体の適応性評価に利用されていたが,近年心疾患の病態診断,予防,治療効果の判定,リハビリテーションなどの面で関心が高まっている。
周知の如く,運動には等張性運動と等尺性運動とがあるが,運動といえば通常前者(歩行,走行,水泳,徒手体操など)を意味し,動的運動とも呼ばれている。一方,後者(静的運動)は物をつかむ,握る,抱える,ぶらさげる,重い物を押す,引張る,持上げるなどで表わされ,何れの動作も日常生活の中では不可欠の要素をなしている。それぞれの運動が心血管系に及ぼす影響を比較すると,等張性運動では心拍数,心拍出量が著増して血圧変化が軽度であるのに対して,等尺性運動では血圧が著明上昇して心拍数,心拍出量の増加が軽度なことである。すなわち,前者は心に急性の流量負荷を,後者は急性圧負荷を与える。
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