呼と循ゼミナール
呼吸と循環の接点
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.631
発行日 1976年7月15日
Published Date 1976/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202930
- 有料閲覧
- 文献概要
肺においては血液と空気とが接触している。
肺は,主体における呼吸と循環との接点として重要な解剖学的な位置を占めるとともに,有効なガス交換を行うために,様々な形態および機能的な特異性を具えたユニークな臓器である。実際に呼吸と循環との接点となる部位は,両者の境をなす肺胞毛細管膜(alveolar-capillary membrane)である。これは結合組織を骨組みにして,肺胞上皮細胞,肺毛細血管内皮細胞および間質部分(interstitial space)などから構築されている。その血液と接する側は,内皮細胞とその胞体突起(cystoplasmic extension)によって覆われており,表面には多数の空胞(pinocytotic vesicle)がある。空気と接する側の大部分は,偏平な肺胞上皮細胞(I型細胞)およびその胞体突起から形成され,間に細胞内顆粒を豊富にもつ肺胞II型細胞が存在している。さらにこれらの肺胞上皮細胞の表面には,非細胞性膜であるalveolar lining layerがある。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.