呼と循ゼミナール
呼吸生理研究と臨床(5)—alveolar plateau (その1)
太田 保世
1
1東海大学医学部
pp.334
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202893
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一見きわめて単純な現象に,実は複雑な要素が包含されるということが稀ではない。いわゆるalveolar Plateauもその1例といえようか。解剖学的死腔の測定あるいは吸気不均等分布の検査法としてのFowler法について簡単に復習すると,100%021回吸入後の呼気N2濃度の呼出量に対する記録は図のようになる。呼出初期の第1相(phaseA)は,完全な死腔からの呼出でN2は含まれない。第2相(phase B)はN2濃度の急上昇をみせ,肺内ガスによる死腔の洗い出しを示すと考えられ,つづく一見平坦な第3相(phase C)が肺胞領域からの呼出で,肺胞気組成を示すとされる。alveolar plateauとは,この第3相の通称であり,このうえに心周期と一致した"ripple"がみられることがあり,cardiogenicoscillationと呼ばれる。呼出終末付近でN2濃度の再上昇がみられることは,closing volume phenomenonとして最近注目を集めているところで,次回冨田講師の解説が予定されている。以下本稿は,第3相のもつ意味に限って考察を進めよう。
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