Japanese
English
特集 心臓の収縮と拡張
心臓生理の新しい展開—模型から実体へ
Recent advances in cardiodynamics
松原 一郎
1
Ichiro Matsubara
1
1東北大学医学部薬理学
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, University of Tohoku
pp.283-290
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202885
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I.心収縮と骨格筋収縮の類似
心筋の電気現象や興奮収縮連関を調べている人々は,心筋細胞と骨格筋細胞の違いを明確に知っている。両者の活動電位の形は異なるし収縮のさいに細胞内のCa++濃度を上昇させる機構も異なっている。つまり,骨格筋では筋小胞体からのCa++放出が細胞内のCa++濃度を高めて収縮を引き起こすのに対し,心筋では筋小胞体のCa++放出のほかに,電気的興奮に伴って細胞外から流入するCa++も収縮の発現に関与している。このようなCa++の動態の違いは,心筋収縮と骨格筋収縮の時間経過の違いを生む原因のひとつになっている。
ところが,心筋の力学現象を調べている人々は,むしろ心筋細胞と骨格筋細胞の類似性を研究の拠りどころにしている。具体的には,骨格筋の研究に用いられた力学的手段をそのまま導入し,骨格筋の場合と同じ等価模型(図1)に基づいて結果を解釈して,模型の各要素のパラメーターとその時間変化を,心筋について求めようとしている。
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