Japanese
English
講座
赤血球中2,3 Diphosphoglycerate(2,3 DPG)レベル調節とその生理的意義
The control mechanisms of 2,3 DPG in human red blood cells and its physiological function
濱崎 直孝
1
Naotaka Hamasaki
1
1国立療養所中野病院
1National Nakano Chest Hospital
pp.405-410
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202760
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
赤血球に大量含まれているヘモグロビン(Hb)は,肺で酸素化され末梢でその酸素を組織へ放出し,酸素を各組織へ供給して,それぞれの代謝をささえている。この酸素供給を能率的に行なうにはHbが肺で容易に酸素化され,末梢では酸素を離しやすい性質をもっていると都合がよい。事実Hbはヘム間相互作用(Heme-Heme Interaction)をもち,Hbの酸素解離曲線はS字状になる。すなわち,生体で肺循環部分に相当する高い酸素分圧では,少々の分圧差でも酸素飽和度の違いはあまりないが,末梢の酸素分圧が低いところでは,わずかな酸素分圧低下で酸素飽和度は著しく低くなる。このヘム間相互作用に影響を及ぼす因子として,注目されているのが,赤血球中の2,3 DPGである。赤血球にだけ高濃度に含まれている2,3 DPGは長い間,ATPの貯蔵庫的役割をしているものとして考えられてきた。近年2,3 DPGがHbと特異的に結合し,その酸素解離曲線に影響を及ぼすことが見出され,また高地や低酸素状態で赤血球中2,3 DPG量の増加現象がみつかったことなどから1)−6),Hbの酸素運搬を調節する因子の1つとしても考えられてきた。
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.