呼と循ゼミナール
気道閉塞の臨床評価(その1)
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.256
発行日 1975年3月15日
Published Date 1975/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202738
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1955年Dornhorstは臨床上,息切れを訴える慢性の不可逆性気道閉塞の症例に,チァノーゼや右心負荷傾向を示すものと,そうでないものとの異った2つのタイプがあることを報告した。以来,数多くの検討により,両者に明らかな臨床的,生理学的差異が存在することが確認された。Burrows1)は,これら慢性の気道閉塞を示す症例を,胸部レ線所見から,気腫性変化の強いもの(Aタイプ)と,慢性気管支炎が病変の主体を占めるもの(Bタイプ)とに分類し,これらに特異的な肺機能,あるいは臨床症状上の指標を検出した。しかしながら日常臨床上,我々は必ずしもこれら2つのタイプに分類できない(Burrowsの分類でXタイプに入るもの)多くの症例に遭遇する。すなわち慢性気管支炎と慢性肺気腫とは,しばしば分離して考えることが困難な場合が多い。たとえBMRC (Britisch Medical Research Council,1960)2)の診断基準などによって慢性気管支炎と診断した患者についても,常に慢性気管支炎だけなのか,あるいは慢性肺気腫を合併しているのか,または慢性肺気腫であるのかを念頭において,十分に鑑別することが治療上または予後の判定に大切なことである。
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