呼と循ゼミナール
気道閉塞の臨床評価(その2)
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.306
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202745
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慢性閉塞性肺疾患の早期発見の可能性が強くなったのは,気道閉塞現象がようやく解明されて来たからである。Woolcock1)が定義したように,気道閉塞とは,肺気量とtranspulmonary pressureとを一定にしたとき,気道内径が正常より減少している状態であり,機能的には気道抵抗の増加といえる。従来気道抵抗の大部分は,末梢気道にあると信じられていたが,1967年Macklemによってその大部分は中枢気道にあり,末梢気道の抵抗は非常に小さいことが明らかにされた。気道抵抗という概念から気道のdimensionをみると,肺胞側にラッパを向けたトランペット型をしていることになる。したがってラッパ側すなわち末梢気道に何らかの閉塞性障害が起こり,その部の抵抗が増加しても,全気道抵抗にはほとんど影響を与えないことになる。いわゆるsilent zoneと呼ばれ,small airway diseaseの概念1)が広く理解されるようになった。
慢性肺気腫をはじめ慢性閉塞性肺疾患の発症に,この付近の病変は非常に重要であり,しかもこれらの疾患の成因として,喫煙の影響が重要視されている。
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