特集 Hypercapniaをめぐる諸問題
呼吸の化学性調節とCSF
名津井 悌次郎
1
,
本田 良行
1帝京大学医学部生理学
pp.913-922
発行日 1974年12月15日
Published Date 1974/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202695
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呼吸の化学性調節に関する研究は1900年前後からのHaldaneらに端を発する。その後,約30年間隔のゆっくりした足取りで呼吸調節に関与する化学受容器と受容野が発見された。ひとつは大動脈体,頸動脈体で代表される末梢の化学受容器,他のひとつは中枢の化学受容野である。10数年前から始まった中枢性化学受容野に関する研究は,主としてLoeschcke, MitchellそしてPap—penheimerの3つのグループで進められ,今まで不可解であった多くの現象をかなり合理的に説明しうるようになった。しかしながら,呼吸を変化させるその経路については組織学的にも電気生理学的にもまだ確立されていない。従って前2者と最後のグループで意見が異っている。延髄腹側に表在性の化学受容野があるのだと主張するのに対して,他方そのような表在性のものは考え難く脳実質内に存在する化学感受性ニューロンで説明しうるという。
呼吸調節系を簡単に述べたあと,中枢性化学受容野に関して彼等の主張のよりどころとなっている実験結果をたどりながらその現状を明らかにしたい。
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