Japanese
English
綜説
吸入麻酔と神経性循環制御
Anesthedc Effects on the Neural Regulation of Circulation
福永 敦翁
1
Atsuo Fukunaga
1
1東京大学麻酔科
1Dept. of Anesthesiology, Tokyo Univ. School of Med.
pp.804-812
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202679
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生体の循環機能は心臓・血管のもつ本来の自動能の他に,たえず中枢神経からの神経性調節機構による影響を受けながら,一定の秩序ある機能を保っている。そして,正常状態の維持には下位脳幹部にある延髄性循環中枢が主要な役割を演じているというのが従来からの考え方であり,その他の部位の活動はとかく無視されがちであった。ところが,近年の電気生理学の発展と相俟って,より高位の神経系,例えば大脳皮質や視床下部の活動が循環におよぼす影響も無視できないものがあるとされ,循環に関係する神経細胞は中枢神経内に広く分布するというように考えられるようになった。ここでいう中梅神経とは自律神経系のうち,特に循環に関する交感神経と副交感神経によって代表される。
一方,最近の臨床麻酔には数々の新しい麻酔剤が使われるようになったが,これらの麻酔剤による循環の変化は決して同一のものではない。その作用機序の検索に於て,末梢作用の複雑さは勿論のこと,中枢作用の研究は技術的な難しさと,得られた結果に対する理論づけにも種々の異った意見が出されている。
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