巻頭言
心機能の判定—"いかに速く"と"いかに多く"
須磨 幸蔵
1
1東京女子医科大学第二病院循環器外科
pp.803
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202678
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筋肉の力と技を競い合うオリンピックにおいて選手の優劣は何によって判定されるであろうか。百米やマラソンなどの徒競走や水泳では一定の距離を"いかに速く"走れるか,泳げるかを判定の基準とする。また棒高飛びではいかに高く,三段飛びではいかに遠く飛び,円板投げではいかに遠く投げ,重量挙げではいかに重いものを挙げるか,つまり"いかに多く"の仕事をなしうるかを判定の規準とする。"いかに速く"は一定の仕事をする速度を問題とし,"いかに多く"はできうる仕事の絶対量が問題となる。
このようなスポーツにおける判定の仕方を心機能の判定の方法にあてはめて考えることができる。"いかに速く"はVmaxやdp/dtに対比させることができ,"いかに多く"は心室機能曲線(Starling曲線)において心拍出量や仕事量の絶対値を問題とするのに対比することができる。
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