麻酔の知識・4
吸入麻酔(その2)
沼田 克雄
1
1専売公社東京病院麻酔科
pp.62-63
発行日 1968年7月1日
Published Date 1968/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914048
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吸入麻酔剤による気管内麻酔は,気道が完全に確保され,人工呼吸が容易にできて,かつ長時間にわたり麻酔深度を一定に保つこともできるという点で,現代の全身麻酔法中,最もすぐれた方法といえよう。
麻酔深度の調節ということに関して,導入・覚醒に要する時間は,患者の状態や薬剤の種類によってちがう。吸入麻酔剤が肺から吸収され,血流によって組織にはこばれるものである以上,肺機能障害や循環障害があれば,それだけ調節性が低下するのは理の当然である。しかし患者が生きている以上は,それほど極端な障害はあり得ないので,あまり大きな差はない。それよりも一番大きな因子は麻酔剤の血液への溶解度であろう。溶解度の大きな,たとえばエーテルは,溶解度の小さな,たとえば笑気に比べると,麻酔の導入,覚醒に時間がかかる。この辺の関係はあまりうまい説明ではないかもしれないが,図によって理解していただきたい。
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