今月の臨床 産婦人科手術における合併症管理のすべて
III 麻酔にかかわる合併症
4.吸入麻酔
椋棒 正昌
1
1淀川キリスト教病院産婦人科
pp.526-529
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904615
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はじめに
吸入麻酔は,エーテル,クロロホルム,笑気の時代から,笑気とハロセンを混合した麻酔を経て,最近では導入・覚醒が速く,安定した麻酔の維持ができ,かつ呼吸・循環への影響が少ないイソフルランとセボフルランが使用されている.
吸入麻酔はいわゆるガス麻酔器を使用し,多くは半閉鎖循環式麻酔回路で,専用気化器により一定濃度の麻酔薬が与えられるので,麻酔深度が保ちやすく,さらに呼吸を補助・調節することが可能である.しかし,吸入麻酔薬を用いて全身麻酔を行う場合,術中・術後の合併症は避けられない.川島1)によると,本邦では1999年度の全身麻酔の対1万症例当たりの死亡率は「麻酔管理が原因」で0.12(83,333症例に1例)であり,麻酔がより安全になってきている.しかし,術中・術後の合併症や手術を含めて,すべての原因による死亡率は8.17(1,224症例に1例)であり,術中・術後合併症の予防,管理,治療の重要性を知ることができる.
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