Japanese
English
装置と方法
時定数0.05秒の心電計で記録した双極食道誘導
Bipolar Esophageal Leads Recorded with an Electrocardiograph with Time Constant of 0.05 Sec
外畑 巌
1
,
岡島 智志
2
Iwao Sotohata
1
,
Tomoshi Okajima
2
1名古屋大学医学部附属病院中央検査部
2名古屋大学医学部第1内科
1Dept. of Central Laboratory, Nagoya Univ. Hospital
21st Dept. of Int. Med., Nagoya Univ. Hospital
pp.403-407
発行日 1974年5月15日
Published Date 1974/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202626
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心電図による不整脈診断はPとQRS波の時間関係およびこれらの棘波の波形をもとに刺激発生部位,刺激伝導様式を推論することによりなされる。しかし体表面誘導心電図でのP波は通常QRS波やT波に比し小さく,これらの棘波と重なり合ったときにはP波形態の詳細はもとより,P波の存在すら認識困難または不能である。大きなP波をうることにより不整脈診断を正確かつ容易にするために以前より食道,気管支,心房腔内よりの心電図誘導が試みられている。このうち食道誘導は非観血的に簡単な操作により患者の負担も比較的軽く記録できるため,Cremer1)以来広く用いられている。model実験によると心房興奮により容積導体内に作られる電位勾配は興奮前面付近できわめて強く,容積導体末梢部では弱い。心房腔内に存在する低い比抵抗の血液はさらにその傾向を増長する2)。このことはなんらかの方法により電極をできるだけ心房近傍に置くことにより体表面誘導心電図に比し有意に大きいP波が得られることを示唆し,実際心房近くより誘導した記録では大きなP波が得られている。
食道誘導を記録するのに洋白,銀,白金等の金属電極を用いると呼吸運動,心拍動,食道蠕動等による食道電極の動揺のため基線がある程度不安定となるのは避けられなく,不整脈分析に必要な長さの連続記録を安定した状態で得ることは容易でない。
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