Japanese
English
綜説
ヘマトクリット値の変動に伴なう心電図変化
Electrocardiographic Changes Produced by Alteration in Hematocrit
石川 恭三
1,2
Kyozo Ishikawa
1,2
1慶応義塾大学内科
2大和市立病院内科
1Dept. of Med., Keio Univ.
2Dept. of Int. Med.; Yamato City Hospital
pp.701-707
発行日 1973年8月15日
Published Date 1973/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202519
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貧血に伴なう心電図変化については,今までに,多くの研究がなされてきたが,残念ながら,一致した見解に達していないのが現況である。今までの報告では,貧血により惹起されたhypoxiaの程度により,ST-T部分に必ず変化が認められるとしているものや1)〜5),また,明らかな心電図上の変化が認められないとするもの6),までさまざまであり,貧血症患者の心電図診断にさいしては,困惑することが多い。もし,貧血症患者の心電図上に,何らかの異常所見が認められた場合に,それが貧血により惹起されたものか,あるいは,全く別個にその原因となる疾患が存在するものなのか,あるいは,基礎疾患が,貧血により増悪されたために,心電図上に,異常所見が出現したのか,などが大きな問題となってくる。
貧血症患者にみられる心電図所見としては,従来より主として,ST-T部分についてであり,P波,QRS波に関しては,つい最近にいたるまで,ほとんど系統だった研究報告がなされてこなかった。しかし,貧血患者の臨床経過を追って心電図を詳細に検討してみると,ST—T部分以外にも,特にQRS波形に大きな変化がみられることが注目されてきている7)8)9)。そこで本稿では,貧血に伴なう心電図変化として,1) ST-T部分,2)QRS波,3) P波に大別して,その総説を試みることにしたい。
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